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呼吸器外科の主な病気

縦隔腫瘍

概要

検診で縦隔腫瘍の疑いがあると言われました。そもそも縦隔って何ですか。

縦隔は、左右の肺に挟まれた空間で、心臓、大血管、気管気管支、食道、胸腺などの臓器が存在する場所を指します。
縦隔内に生じる腫瘍を、一般に縦隔腫瘍と呼びます。
縦隔の上の方には神経やリンパ組織が、前の方には胸腺やリンパ節が、中の方には気管支や心膜が、後ろの方には神経や食道があります。

縦隔腫瘍について自分で調べても今ひとつよくわかりません。
縦隔腫瘍にはどんなものがありますか。簡単に教えてください。

縦隔内に存在する様々な臓器から腫瘍が生じます。縦隔にある臓器から発生した腫瘍をまとめて縦隔腫瘍といいます。
性質もさまざまで、いろいろな病気を含んでいます。胸腺に腫瘍ができれば「胸腺腫」や「胸腺癌」、嚢胞ができれば「胸腺嚢胞」、となります。

縦隔腫瘍はいろいろな病気を含んでいるということですが、
どのようなものが多いですか。

集計では、縦隔腫瘍の中で最も多いものは胸腺腫で、およそ40%を占めます。神経原性腫瘍(約15%)、先天性嚢胞(約15%)、胚細胞性腫瘍(約10%)がこれに続きます。当科での縦隔腫瘍手術症例の内訳を示します。

縦隔腫瘍の内訳(2013)
  • 胸腺腫
  • 先天性嚢胞
  • リンパ性腫瘍
  • 胸腺癌
  • 神経原性腫瘍
  • 胚細胞性腫瘍
  • 甲状腺腫
  • その他

縦隔腫瘍は悪性の腫瘍ですか。

縦隔腫瘍は悪性のものと良性のものがあります。

  • ・悪性腫瘍:胸腺癌、胸腺カルチノイド、奇形腫以外の胚細胞性腫瘍、リンパ腫など。
  • ・中間のもの:最も頻度の高い縦隔腫瘍である胸腺腫は、癌ではないものの転移や隣接臓器への浸潤を示すことがあり、中間悪性度腫瘍として扱われます。
  • ・良性腫瘍:神経原性腫瘍や甲状腺腫は多くが良性腫瘍ですが、少ない頻度で悪性のものが見られます。

胸腺嚢胞、気管支嚢胞、心膜嚢胞などの嚢胞性病変は、良性疾患です。

症状

数年前に縦隔腫瘍と診断されましたが、大きさに変化がないので様子をみています。
つらい検査などはやりたくないのですが、どんな症状に気をつければいいですか?

縦隔腫瘍は約半数が無症状で、健診や他疾患の検査中に偶然発見されることも珍しくありません。症状がある場合は、腫瘍による周囲臓器の圧迫・浸潤による症状が主で、咳、息苦しさ、上大静脈の閉塞によるむくみや、声のかすれ、交感神経障害症状(まぶたの低下、瞳孔の縮小、発汗の異常)などが出ることがあります。

胸腺腫の疑いで、検査をする予定です。胸腺腫では重症筋無力症を合併すると聞きます。
簡単に教えて下さい。

胸腺腫が疑われる方の約20-30%に重症筋無力症が合併することがあります。症状は、手足の力の入りにくさ、まぶたの低下、目のかすみ、食べ物の飲み込みにくさなどです。胸腺の免疫に関与して症状が出ます。胸腺腫を伴う重症筋無力症では胸腺摘出術を行います。胸腺腫がない方でも胸腺摘出手術が症状を改善させることもあり、重症筋無力症の治療として胸腺摘出術を行うこともあります。

診断

縦隔腫瘍の疑いでいろいろ検査をされましたが、結局手術をしないと診断がつかないといわれてしまいました。診断は難しいのでしょうか。

縦隔腫瘍は様々な臓器から発生する腫瘍のため、確定診断をつけるには腫瘍組織を顕微鏡で見る必要があります。
CT、MRI、PET-CT検査は、腫瘍の正確な位置や性質、周囲臓器への浸潤の有無などを評価するために行います。
腫瘍によっては、発生しやすい性別や年齢に明確な傾向のあるものがあり、これらの情報も診断には重要です。
診断のために組織を採取することを生検と言い、CTで透視しながら針で組織を採取する方法などがあります。しかし、画像検査で悪性腫瘍が疑われる場合や、腫瘍が増大してきている場合、また、生検をするのが難しい場所に腫瘍がある場合などは、診断と治療を兼ねて腫瘍を切除する手術が勧められます。

治療

診断のためには手術で摘出しなければいけないといわれました。
いきなり手術なんて抵抗があるのですが、どのような手術になるのでしょうか。

縦隔腫瘍に対する手術は、胸部に小さい傷を作って内視鏡下に操作する胸腔鏡手術が多く行われています。
しかし、傷の位置や大きさは、腫瘍の場所やサイズ、周囲との関係で決まります。胸骨という胸の真ん中にある骨を中央で切って手術を行う方法もあります。

図:胸骨正中切開による手術と
胸腔鏡下手術

縦隔腫瘍はいろいろな病気があるということがわかりました。
それぞれの治療について簡単に教えて下さい。

各種検査でどんな病気か、ある程度絞り込みます。おおよそ以下のような治療をお勧めしています。

  • ・経過観察または診断/治療のための摘出手術→良性の可能性が高いもの(嚢胞、神経原性腫瘍、甲状腺腫瘍など)。
  • ・診断/治療のための摘出手術→増大傾向のある腫瘍、胸腺腫など。
  • ・生検で診断し、抗癌剤治療を行うもの→胚細胞性腫瘍、リンパ腫など。

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