肺にできる癌を肺癌といいます。肺は呼吸器系の重要な臓器で、胸の中に左右2つあります。肺の役割は体の中に空気中の酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出する呼吸が主です。肺に存在する細胞が無秩序に分裂する状態なった状態が肺癌です。まわりの組織を侵略し破壊する浸潤、遠く離れた臓器に飛んでいき、そこでさらに癌を増殖させることを転移と呼びます。肺癌は進行すると浸潤や転移をします。日本人のがんによる死亡者数の中で、肺癌はがん死因の第1位で、男女別では男性で第1位、女性では第2位となっています。
非小細胞肺癌と小細胞肺癌に分類できます。それぞれで治療方針がことなります。
肺癌のうち、80%を占める非小細胞肺癌では、肺癌の広がりによって治療法を選択します。肺癌の広がりが限局されている病期においては、手術による切除が第一選択となります。小細胞肺癌は、非小細胞肺癌に比べ、悪性度の高い腫瘍であるものの、抗癌剤や放射線照射に対する感受性が高く、化学療法が治療の中心となります。以下に非小細胞肺癌の治療法をまとめます。
臨床病期(ステージ) | 治療方法 |
---|---|
Ⅰ | 手術→化学療法(ⅠA期は手術単独) |
Ⅱ | 手術→化学療法 |
Ⅲ | 手術→化学療法 化学療法→手術 化学療法+放射線療法 |
Ⅳ | 化学療法、分子標的治療 |
再発例 | 化学療法、分子標的治療、放射線療法 |
肺癌は病巣の広がり具合で病気の進行をⅠ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期の「病期」に分類します。病期は「ステージ」とも呼ばれます。代表的な状態を下の図にしめします。
大変ご心配なこととお察しいたします。ステージ1(Ⅰ期)の肺癌は肺の中に癌がとどまっている状態で、手術により切除することをおすすめします。なるべく早く外来にお越し下さい。
肺癌を根治するには、肺癌のできている肺を肺葉以上の範囲で切除する必要があります。
一般的な肺癌の病巣のみを切除する楔状切除では局所再発をおこす可能性が高く、不十分だからです。当科では胸腔鏡を補助として使用した8から10cm程度の開胸による低侵襲手術を行っています。手術時間は2-3時間で、出血量も少なくすみます。術後は5日ほどで退院できます。当科は日本でも有数の肺癌の手術数であり執刀医の経験も豊富です。併存疾患があっても内科と協力し積極的な治療をおこなっています。
肺癌の標準根治手術は数ある外科治療のなかでもほぼ完成されているといって良い治療法です。手術によるトラブルが起こる確率は患者さんの年齢や体力によっても違ってきます。ご高齢, 糖尿病、心臓病などをもっている場合はリスクは少し高くなります。しかしながら術後の手術関連死亡率は0.3%以下と報告され、一般的には小さいですので、むやみに心配する必要は無いと考えてください。
ご心配な事と思います。経過を見て良い場合もありますので早めの外来受診をお勧めします。
検査の目的は以下の3種類があります。
肺癌を根治するには、肺癌のできている肺を肺葉以上の範囲で切除する必要があります。
肺癌の病巣のみを切除する楔状切除では局所再発をおこす可能性が高く、不十分だからです。
最近のCTなどの発達により、ごく早期の肺癌が発見されるようになってきました。そのような早期肺癌に対しては楔状切除や区域切除など、切除範囲を縮小した手術も行われるようになってきています。
肺葉切除と周囲のリンパ節を切除する標準手術では、手術時間は2-3時間で、出血量も少なくすみます。術後は5日から7日ほどで退院できます。当科では胸腔鏡を補助として使用し、小さな開胸下に手術を行っています。
肺癌の外科治療においては手術が終着点ではありません。完治というゴールを目指しての出発点が手術ということになります。そこで最低でも5年間は通院し、再発のチェックをしていただきます。患者さんの中には再発を恐れるあまり、精神的ストレスを抱えてしまう方もいます。手術ができる病期であったことを喜び、前向きに日々の生活を楽しみましょう。