手術が上達するには、①完成された「型」を学ぶこと、②「安全性」、「根治性」、「低侵襲性」のバランスがとれた手術を学ぶこと、③多くの手術を経験し手を動かすこと、この3つが大切です。当科では全スタッフが手術書「淺村・呼吸器外科手術」に則った手術を行っており、完成された「型」を効率的に学ぶことが可能です。また当科には、「外科医の真価は、困難な手術を安全かつ根治性をもって行えることにある」という哲学があります。そのために、「安全性」、「根治性」を担保した上で「低侵襲性」を求める手術を実践し、指導しています。そして、当科には豊富な手術があり(2019年は578件)、このような「型」と「哲学」に則った多くの手術を経験することができます。
当科は首都圏に19の有力な関連施設を有しており、うち都道府県がん連携拠点病院が2施設、地域がん診療連携拠点病院が12施設あります。2019年は関連施設全体で全身麻酔下手術3991件、原発性肺癌手術1887件が行われ、これは全国でも屈指の規模の診療グループと言えます。
皆さんは、10年後や30年後の自分の姿を想像したことがありますか?研修修了後に自立した外科医になるには、さらに4~5年、ベテランの指導下に高難度手術を行う期間が必要です。当科にはこの経験を積むことができる関連施設が十分にあります。また、50代はどうでしょう? 多くの関連施設があるからこそ、実力をつけたのちに指導医として後進を育てることが可能になります。このように大きな診療グループに属することは、外科医のキャリア全体を通して大きな意味を持っています。
「切離」、「剥離」、「結紮」等の外科基本手技は、全ての手術に共通しており、呼吸器外科手術においても根幹部分です。これを高い精度で行えるようになるには、多くの手術に入ってとにかく手を動かす必要があります。慶應義塾大学外科学教室では、1年目は必ず関連施設で一般消化器外科出張を行い、この間に多くの一般消化器外科手術を経験して基本手技を習得します。またこの期間に汎発性腹膜炎などの周術期管理を通じて集中治療を学ぶことも重要です。下のグラフが示すように、近年の慶應義塾大学外科学教室のレジデントは、外科専門医必要症例数の2倍近い症例経験を3年間で積んでいます。
詳しくはこちらのページもご覧ください
http://keiosurg.umin.jp/shokikenshui/
当科のスタッフの半数以上は他大学出身で、関連施設の責任者の半数も他大学出身です。研修やその後のキャリア形成において、出身大学による区別は全くありません。多様なバッググラウンドを持つ人たちが集まって切磋琢磨していることが当科の特徴と言えます。ぜひ全国の大学から慶應呼吸器外科の門を叩いて下さい。
「都心で研修し、将来も首都圏で働きたい」ということを、当科を選んだ理由のひとつに挙げるレジデントは多いです。慶應義塾大学病院は、東京都新宿区と港区の境界に位置し、東京オリンピックの舞台となる新国立競技場、緑豊かな神宮外苑や新宿御苑、流行発信地である港区青山エリアに隣接するという、屈指のロケーションにあります。当科のレジデントたちはこの恵まれた環境を生かして、平日は忙しく働き、週末は街に出てリフレッシュするというメリハリのついたレジデント生活を送っています。
私は初期研修修了時に慶應外科学教室に入局し、一般外科出張の後に慶應義塾大学病院で呼吸器外科のレジデント生活を送りました。その後大学院を経て現施設に異動いたしました。慶應呼吸器外科の研修で感じた最大の魅力は、手術の質の高さです。淺村教授が国立がん研究センター時代から築き上げた手術方法”Minimally Invasive Open Surgery (MIOS)”は、肺癌の根治性、手術の安全性、患者さんへの低侵襲性を全て高いレベルで兼ね備えた手法です。慶應ではスタッフ全員が同じ道具を使い、同じ理論で手術を行うため、学習効果が高く、層構造とリンパ流路を意識した綺麗な手術操作、小開胸での合理的な視野展開で短時間に肺切除を行う技術が身に付きます。洗練された手術手法に触れて、呼吸器外科の根幹技能を慶應で習得してください。
私は肺癌治療に携わりたいと考え、医師を志しました。平成22年に熊本大学を卒業後、初期研修を修了し、後期研修先の都立駒込病院の先生・先輩方よりお誘いいただき、当医局に入局いたしました。大学で3年間、国立がんセンター中央病院の病理科・呼吸器外科で半年間の研修を経て、平成30年より年間手術症例300件超の都立駒込病院呼吸器外科に勤務しております。また,入局後より並行して病理学教室にてリサーチを継続し、学位取得を目指しております。
現在までの研修を経て、当医局の魅力は充実した教育体制と豊富な症例数が相互に作用し、循環するシステムにあると考えております。手術に関わる臨床業務やアカデミックな活動にあたる機会に恵まれており、淺村教授をはじめ呼吸器外科界のエキスパートである先生方から一視同仁に手厚いかつ合理的なご指導をいただけ、効率的な技術向上や研鑽が行えます。それが日常業務の合理化・時間短縮・症例数増加に繋がり、さらなる修練の機会に恵まれるのです。このような優れた環境での研修は希少かつ貴重であると考えております。
私は筑波大学を卒業後、”頭から足の爪まで” 診ることができるGeneral surgeonに憧れ、沖縄の県立病院や離島で、一般外科の修練を6年間積み、外科専門医を取得し、外科医としての出発点に立ちました。研修中に、呼吸器外科領域の手術の難しさ、奥深さに興味を抱き、慶應義塾大学医学部外科学(呼吸器)教授である淺村尚生先生の門戸を叩かせて頂き、卒後7年目から、呼吸器外科の研修を開始しました。
当科の魅力の一つは、圧倒的な手術件数です。一般病院では、肺・縦隔・胸壁などの呼吸器外科領域の手術は多くて年100例前後ですが、当科では疾患の偏りなく年500例以上の手術があり、一流の先生方の指導のもとで修練できます。また、大学での研究や、国立がん研究センター中央病院での臨床・病理研修の機会もあります。その他、大学院への進学や海外留学をされる先生もおり、選択肢は非常に多様です。
初期臨床研修医の先生をはじめ、呼吸器外科に興味をお持ちの先生方がおられましたら、医学部開設100周年を迎えた歴史と伝統ある慶應義塾大学医学部外科学(呼吸器)で修練をすることで、想像以上の未来が見えてくると思います。皆さまからのご連絡をお待ちしております。
初期研修修了後より慶應呼吸器外科教室に所属しておりますが、2018年よりテキサス州ガルベストンのUniversity of Texas Medical Branchで一般外科研修を行っています。慶應病院で初期研修医をしていた私は、当時着任当初であった淺村教授の手術を拝見して感銘を受け入局を決めました。カンファレンス等での意思決定やエビデンスの解釈も大変印象的であり、外科医としての基礎を学ぶための弟子入りという心持ちでした。その後マッチングを経て現在のポジションを獲得するにあたり、淺村先生をはじめとした医局の先輩から頂いたご指導、ご支援は非常に大きなものでした。自分のキャリアは呼吸器外科医としては特殊なため、入局を考えている先生の参考になるかはわかりませんが、入局者の将来像を聞きサポートしてくれる環境がある医局です。慶應義塾大学呼吸器外科での研修の魅力は、ハイボリュームセンターで洗練された定型手技を大学病院で学ぶことができる点だと思います。済生会中央病院での一般外科出張も含め日本で学んだ基礎はアメリカで生き残る上での大きな財産になっています。
私は平成26年に東北大学卒業後、初期研修医期間に呼吸器外科医になることを決めました。しかし東京の大学出身ではなかったため、どの医局に入るか悩んでおりました。そのような時に慶應呼吸器外科を見学し、淺村教授の美しい手術操作と、安全性、スピード、根治性を兼ね揃え、患者さんへの侵襲を最小限で行う手術に感銘を受け入局を決めました。さらに医局員の先生方全員が同じ理論で同じように手術をしていて、手術が効率的で高い再現性があることに、一層感銘を受けたのを覚えております。そのためどの先生に手術手技を習っても同じように技術を習得できるところが当医局の大きな魅力の一つです。
また、他大学からの入局を考えている先生方は慶應での待遇を心配される先生方も多いかもしれません。実際私も他大学出身ですが、出身大学によっての区別は全くありません。一人一人の医局員が全員分け隔てなく扱われます。最初は不安もあるかとは思いますが、当医局は皆様の想像以上に開かれた医局です。ぜひ慶應で多種多様な同世代の先生方と切磋琢磨しながら、ハイレベルな手術手技を習得してください。