手術が上達するには、①完成された「型」を学ぶこと、②「安全性」、「根治性」、「低侵襲性」のバランスがとれた手術を学ぶこと、③多くの手術を経験し手を動かすこと、この3つが必須です。慶應呼吸器外科では全スタッフが手術書「淺村・呼吸器外科手術」に忠実な手術を行っており、完成された「型」を効率的に学ぶことが可能です。また慶應呼吸器外科には、「呼吸器外科医の真価は、手術を小さな傷で行えることではなく、困難な手術を安全かつ根治性をもって行えることにある」という哲学があります。そのために、「安全性」、「根治性」を最優先した上で「低侵襲性」を求める手術を実践し、指導しています。そして、慶應呼吸器外科には年間約550件の手術があり、このような「型」と「哲学」に則った多くの手術を経験することができます。
慶應呼吸器外科は首都圏に20施設の有力な関連施設を有しており、うち都道府県がん連携拠点病院が2施設、地域がん診療連携拠点病院が12施設あります。2018年は関連施設全体で全身麻酔下手術3600件、原発性肺癌手術1700件が行われ、これは全国でも屈指の規模の診療グループと言えます。
皆さんは、10年後や30年後の自分の姿を想像したことがありますか? 研修修了後に自立した外科医になるには、さらに4~5年、ベテランの指導下に高難度手術を行う期間が必要です。慶應呼吸器外科にはこの経験積むための関連施設が十分にあります。また、50代はどうでしょう? 多くの関連施設があるからこそ、実力をつけたのちにトップとして後進を指導することが可能になります。大きな診療グループに属することは、外科医のキャリア全体を通して大きな意味を持っているのです。
「切離」、「剥離」、「結紮」等の外科基本手技は、全ての手術に共通しており、呼吸器外科手術においても根幹部分です。これを高い精度で行えるようになるには、多くの手術に入ってとにかく手を動かす必要があります。慶應義塾大学外科学教室では、1年目は必ず関連施設で一般消化器外科出張を行い、この間に多くの一般消化器外科手術を経験して基本手技を習得します。またこの期間に汎発性腹膜炎などの周術期管理を通じて集中治療を学ぶことも重要です。下のグラフが示すように、近年の慶應義塾大学外科学教室のレジデントは、外科専門医必要症例数の2倍近い症例経験を3年間で積んでいます。
詳しくはこちらのページもご覧ください
http://keiosurg.umin.jp/shokikenshui/
慶應呼吸器外科には現在5名のスタッフと、6名のレジデントが所属していますが、スタッフもレジデントも半数以上が他大学出身です。また、関連施設トップの半数も他大学出身です。多様なバッググラウンドを持つ人が集まって切磋琢磨していることが慶應呼吸器外科の特徴です。ぜひ全国の大学から慶應呼吸器外科の門を叩いて下さい。
「都心で研修をし、将来も首都圏で働きたい」ということを、当科を選んだ理由のひとつに挙げるレジデントは多いです。慶應義塾大学病院は、東京都新宿区と港区の境界に位置し、2020年東京オリンピックの舞台となるオリンピックスタジアム、緑豊かな神宮外苑や新宿御苑、流行発信地である港区青山エリアに隣接するという、全国の大学病院の中でも屈指のロケーションにあります。当科のレジデントたちはこの恵まれた環境を生かして、平日は朝から夜まで忙しく働き、週末は街に出てリフレッシュするというメリハリのついたレジデント生活を送っています。
私は初期研修修了時に慶應外科学教室に入局し、一般外科出張の後に慶應義塾大学病院で呼吸器外科のレジデント生活を送りました。その後大学院を経て現施設に異動いたしました。慶應呼吸器外科の研修で感じた最大の魅力は、手術の質の高さです。淺村教授が国立がん研究センター時代から築き上げた手術方法”Minimally Invasive Open Surgery (MIOS)”は、肺癌の根治性、手術の安全性、患者さんへの低侵襲性を全て高いレベルで兼ね備えた手法です。慶應ではスタッフ全員が同じ道具を使い、同じ理論で手術を行うため、学習効果が高く、層構造とリンパ流路を意識した綺麗な手術操作、小開胸での合理的な視野展開で短時間に肺切除を行う技術が身に付きます。洗練された手術手法に触れて、呼吸器外科の根幹技能を慶應で習得してください。
私は肺癌治療に携わりたいと考え、医師を志しました。平成22年に熊本大学を卒業後、初期研修を修了し、後期研修先の都立駒込病院の先生・先輩方よりお誘いいただき、当医局に入局いたしました。大学で3年間、国立がんセンター中央病院の病理科・呼吸器外科で半年間の研修を経て、平成30年より年間手術症例300件超の都立駒込病院呼吸器外科に勤務しております。また,入局後より並行して病理学教室にてリサーチを継続し、学位取得を目指しております。
現在までの研修を経て、当医局の魅力は充実した教育体制と豊富な症例数が相互に作用し、循環するシステムにあると考えております。手術に関わる臨床業務やアカデミックな活動にあたる機会に恵まれており、淺村教授をはじめ呼吸器外科界のエキスパートである先生方から一視同仁に手厚いかつ合理的なご指導をいただけ、効率的な技術向上や研鑽が行えます。それが日常業務の合理化・時間短縮・症例数増加に繋がり、さらなる修練の機会に恵まれるのです。このような優れた環境での研修は希少かつ貴重であると考えております。
初期研修修了後より慶應呼吸器外科教室に所属しておりますが、2018年よりテキサス州ガルベストンのUniversity of Texas Medical Branchで一般外科研修を行っています。慶應病院で初期研修医をしていた私は、当時着任当初であった淺村教授の手術を拝見して感銘を受け入局を決めました。カンファレンス等での意思決定やエビデンスの解釈も大変印象的であり、外科医としての基礎を学ぶための弟子入りという心持ちでした。その後マッチングを経て現在のポジションを獲得するにあたり、淺村先生をはじめとした医局の先輩から頂いたご指導、ご支援は非常に大きなものでした。自分のキャリアは呼吸器外科医としては特殊なため、入局を考えている先生の参考になるかはわかりませんが、入局者の将来像を聞きサポートしてくれる環境がある医局です。慶應義塾大学呼吸器外科での研修の魅力は、ハイボリュームセンターで洗練された定型手技を大学病院で学ぶことができる点だと思います。済生会中央病院での一般外科出張も含め日本で学んだ基礎はアメリカで生き残る上での大きな財産になっています。